ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

ワンダフルライフ(85)

 僕だって、と返した声音はかすかに震えた。
 だがそれは今までのような、緊張やストレスによるものではなく、歓びによるものだと自分で判った。
 目の前のこの人と共にいる、これからも共にいられることへの、尽きることない歓喜の想い。
「僕だって同じです。向井先生となら、・・・無敵です」

 実際には、万能でい続けられることなどあり得ない。己の無力さにうちのめされて悔し涙を流すこともあれば、理不尽な悪意に晒されることだってきっとある。
 だが、それだけではきっと終わらない。そこで得たものは次の治療に活かされる。いや、活かさなければならない。そうやってずっと前進する。進んでいけると、長谷川は心から思う。
 向井先生と一緒なら。

「・・・大貴くんってさ」
 ぽつりと言ったのは一征だった。視線を自分の手元に落としたまま、訥々とした声音で言葉を継ぐ。
「昔から、聞き分けがいい子ってイメージで。何かが欲しいって言い張ったり、深く執着したり、そういうことがあんまりなかったよね。我を張って事を荒立てるよりは譲っちゃう、っていうかさ。・・・その大貴くんに、家族と絶縁してもいいから手放さないなんて言い切らせるのはどんな人なんだろうって俺、ずっと不思議だったんだけど」

 ここで一征は、ふっと視線を上げた。向井を真っ直ぐに見つめて、かすかに微笑む。
「向井先生を見た時、なんか、腑に落ちた。ああこの人か、って思った。なるほどな、って。何でなのか、自分でも判んないんだけど。正直、男どうしでそういう感情って成立するのかなって未だに思うんだけど、それでも、判ったことがある。・・・葉子もそれ、判ってるんだろ?」

 皆の視線を一斉に浴びる格好になった葉子は、ぐっと絶句したが。
 眉間に皺を刻みながら、吐き捨てるような口調で、それでも――こう言った。
「・・・この人が大貴を好きで、大貴がこの人を好きだってことでしょ!? 好きで、大事で、かけがえなくて、人生そのものになっちゃってて、離れようったってもう無理ってことでしょ! 判ったわよ――判ってたわよ。お正月のあの時からほんとはもうずっと!」


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Date:2018/05/06
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Comment:2

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/05/06 【-】  # 

* Re: 自分にも打ち勝てる!

hちゃんこんばんは~♪

あう~9連休あっという間だった!
「ワンダフルライフ」を完結させて、拍手御礼SSも書いて入れ替えるというのが目標だったけど、どっちも果たせず(><)
おかしいなあ、ほぼずっと原稿してたのにな?
取りあえず拍手の方は、もうしばらくお待ちください・・・m(_ _)m なんかね、頭が「ワンダフル~」でいっぱいになってて、他のことが考えられない(^^;) 完結後、拍手の方に取りかかります☆

シュガーバイン、そうなのよ、葉っぱも割とワイルドで、暑さにも寒さにも強そうに見えるんだけどね~。
や、実際には見た目通りの強い子かもしれません! ちなみに今の処は快調。つるをにょろにょろ伸ばしてます(*^_^*)
巴里さまもこのまま無事分頭してくれますように!
hちゃんちの子も元気ですくすく大きくなりますように~!

さてさて今日のコメントは、大変嬉しいお言葉オンパレードで(感涙)
そうなの! そうなの!! 明日向井先生も長谷川先生も、行動で表すので、見てやって~!
それにしても長谷川先生、すごく頑張ってると、昔を知る者としては思うよね~。
一緒ならとか無敵とか、よくぞ言った! パチパチ!
そんで、二人の関係をというより、向井先生自身が認められることが、今の長谷川先生には嬉しくてたまらないんだろうね(^^)
ああ~ほんとに好きなんだなあ、向井先生のこと(//△//)

やっばりこの人すごいんだぞって全世界に言いたいくらい、って、本っ当にそのとおりだと思いました(^ω^)
長谷川先生からhちゃんへ、感謝のハグを! ぎゅっ♡
おまけ;向井先生に押し分けられる(笑)
2018/05/06 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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