ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

ワンダフルライフ(91)

「お腹空きましたね」
 照れ隠しに、殊更にさばさばした声で長谷川がこう言うと、向井も頷いた。
「そうだな。なんか食ってくか」
「あ、僕、ご馳走します。今日のお礼に。先生、食べたいもの何でも言ってください」
 俄然勢い込んで、長谷川はこう言ったのだが。

「ん? んー・・・じゃあ、牛丼」
 返ってきた言葉に、軽く拍子抜けしてしまった。
「えっ? 牛丼ですか?」
 一方の向井は屈託なげに、うん、と言う。
「ほら、ちょうどそこに牛丼屋、見えてるし」
「牛丼ですか・・・」

 牛丼が悪いと言う気はないし、嫌いなわけでもない。で今はもっと高価なものをご馳走したかった。
 顔にもそう書いてあったのだろう。向井は長谷川を見下ろすと、目尻に皺を寄せるようにして微笑んだ。この笑顔に長谷川が逆らえないと知っているのだ。
 こういうとこむかつく、と長谷川は口の中で呟いてやったが、それはまるで睦言のようで、自分でも戸惑った。

 その間にも向井は言葉を続けている。
「アタマの大盛りがいいな。玉子と味噌汁もつけて」
 だから長谷川も半ば諦めつつ、それでもささやかな抵抗を試みる。
「ああ、ごはんは並と同じ量で、肉だけ大盛りってあれですか。・・・あれは玉ねぎも大盛りになるんじゃないですか?」
「玉ねぎは全部おまえにやるよ。それに、牛丼なら早く出てくるから家にも早く帰れるぞ」

 疲れてるんだろ、と続けて言われたら、平気ですと言い張るつもりだった。が、
「その分早く、くっついて入れる。風呂にも、ベッドにも」
 そう続けられ、長谷川は思わず頷いていた。
「牛丼にしましょう」
「よし、決まりだ」


→ BACK
→ NEXT

にほんブログ村 トラコミュ 大人のためのBL、MLへ
大人のためのBL、ML
にほんブログ村 トラコミュ オリジナルBL小説・・・ストーリー系へ
オリジナルBL小説・・・ストーリー系



*拍手クリックで御礼SSに飛びます。
ぽちっと楽しんでいってくださいませ♪

*このお話が気に入ってくださった方はこちらも是非ぽちっと♪
ありがとうございます、大変励みになってます!

*    *    *

Information

Date:2018/05/12
Trackback:0
Comment:2

Comment

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/05/12 【-】  # 

* Re: 向井印のたまねぎで懐柔されるちわわ

hちゃんこんばんは~♪

ひゃー、ほんとに、植物とたわむれた後はぐうぐう昼寝するだけの1日になってしまった(><)
でもまだ寝足りない・・・頭が重いよ・・・←いや寝過ぎかもしれない
夕飯もラクして手抜き料理にしよう。そうしよう♪

さてさて、今日のお2人さんは牛丼デートでめでたく合意(^^)
長谷川先生のたまねぎ攻撃、ほんとだ、ささやかすぎる抵抗!(爆笑)
精一杯の反撃だったんだろうけどね~(にやにや)
しかもその後、簡単に嬉しくなってますし。
どこまで可愛いの、ちわわは!
向井先生のたまねぎは僕だけのものです!って無駄にキリッとして言ってそう(≧∇≦)

そんで、そうそうそう、2人で食べれば何でも美味しいのよ~。
牛丼いいよね~、私も久しく食べてないよ・・・食べたくなってきたよ(^o^)
あ、私は並盛りでいいです☆
2018/05/12 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://kisschoko.blog.fc2.com/tb.php/1415-7247dcfc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)