ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

ワンダフルライフ(119)

 胸を張って言い切った泉を、長谷川は言葉もなく見つめ返した。
 凛々しい、という単語が頭をよぎる。次いで、確かにこれは恐くてキツいな、という感想も。

「ただし、ヤブには用はないの。長谷川先生の腕前の程は、まずは今回のあの患者さんの経過で見せていただくわ。それ次第かな、菊池医院が今後もこちらとお付き合いするかどうかは」
「ええ。望むところです」

 それなら俺は、受けて立とう。そんな決意を固め、長谷川は口角を上げてみせる。
「とはいえ僕も、いつまでもこの病院にいるわけじゃありませんが。まあ、パートナーは僕に輪を掛けた凄腕なので、共同開業した暁にはご連絡しますよ。それ以降は開業先へご紹介ください」

 応えて泉も、ふ、と笑った。
 と、そこへ、

「・・・長谷川先生? 次の患者さん、お呼びしていいですか」
 診察室のドアがノックされ、外から看護師の声がした。慌てて長谷川は、はいと返事をする。

「じゃあ私はこれで。・・・あ、パートナーさんは紹介してくれなくて結構ですよ。売約済みの男に興味はないので」
 これが泉の、別れの挨拶だった。それきり、さっさとドアを開け、白衣の裾を翻して出て行ってしまう。
 
 取り残された格好になった長谷川は、しばし呆然として――それからすぐに我に返った。
「はい、お待たせしました。・・・その後いかがですか」
 定期的に登院している慢性病の患者が入室してきて、長谷川は椅子を勧めながら電子カルテの画面を切り替えた。
 そこからは診療に集中し――長谷川が再び菊池泉のことを意識にのぼらせたのは、帰宅の途についた時だった。


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→ 次回最終回

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Date:2018/06/09
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/06/09 【-】  # 

* Re: 僕に輪を掛けて凄腕、って自信をちらつかせるちわわ(笑)

あああ、hちゃん! 6日のリコメも承認待ちになってたのね!
さっき慌てて承認しました。ったく、自分が投稿したコメントの承認を受けねばならない管理人って何なのよう。
つか、スマホからコメントしても、ついこないだまでは承認云々なしですんなり反映されてたのに~。なんか設定が変わったのかなあ? やっぱり電気(?)はよくわからんですわ。

さてさて、今日も凛々しい泉ちゃん、颯爽と去っていきました♪
叱られてキュンキュンいいながらも反撃するちわわ、成長したな!(笑)
のろけ攻撃は長谷川先生の得意技ですよね(≧∇≦)本人はごく真面目に、本当のことを言ってるだけのつもりなのでしょうが、それのろけだっつの☆

この顛末を向井先生に話すかどうかは・・・ふふふふふ・・・
あ、明日で最終回ですよー☆
長かった・・・永遠に終わらないかと思った・・・何しろこの話、元旦から月末にかけての1ヶ月間の話ですからして。
今6月だよ! 今年の半分終わりかけてるよ(゚д゚)!
次の話は、やっぱりまだ未定ですが、季節に合った話にしたいです。切実。
2018/06/09 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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