ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

星屑が降ってくるII(6)

 長らくビニール傘ばかり使ってきた――そしてあちこちに忘れてきた――向井だが、現在ではきちんとした傘を持っている。
 芽吹き立ての若葉が陽に透けた時のような、綺麗なさみどり色をした、八十センチの長傘。もちろん、見立てたのは長谷川だ。

 その時、長谷川自身も欲しくなってしまって、薄い青に近い藤色の傘を買ってしまった。
 これらの傘は今は、三和土の隅に置いたスチール製の傘立てに、二本仲良く並んで立っている。
 のはいいのだが。

「え?」
 向井が驚いた顔をしたので、長谷川もまた驚いた。え? と同じように疑問符を発すると、向井から衝撃の発言が飛び出した。
「降りそうなのは雪なんだろ? だったら傘、要らないんじゃないのか?」

「えっ!?」
 先刻よりも大きな声で、長谷川は反問せずにいられなかった。
「雪の日は先生、傘ささないんですか!?」
「だって払えば落ちるだろ」
 長谷川の勢いに、多少たじたじとなりながらも、向井は反論を開始した。
 と同時に、遅れるぞと表情で言いながらキッチンテーブルを指し示し、朝食へと持ち込もうとする。

「そりゃ粉雪程度なら落ちるでしょうけど。いえ、降りの程度の問題じゃありません」
 長谷川もまた、トーストと目玉焼きの乗った皿をテーブルに運びつつ、反論の反論を開始する。
「いい大人が、しかも医師なんて仕事をしている人が、雪まみれになって歩いていること自体が問題なんです。そんな姿を患者さんや病院スタッフが見たらどう思うか」


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Date:2018/07/10
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2018/07/10 【-】  # 

* Re: まして大人は傘をさします。

hちゃん!
まさにその川が家の前を流れてるよ!

うちの前も、一時期ものすごい嵩の土砂や流木が流れて橋の上を横断していったものの、水は割と早く引き、家も浸水したりせず済みました~。

けど、ちょっと川下の辺りでは、大惨事に・・!
うちの辺りていうと、ただでさえ傾いていた電柱や、剥き出しのいろんな配管が不安(>_<)
そして明日からの出勤も不安(;o;)

そんなこんなで、とりあえず今週いっぱいはまた更新を休ませていただこうと思います~。
ちょっと、精神的に余裕なくなっちゃった(^_^;)
このあと、お知らせ記事を書くね。

で、雪は傘の適応外だという向井先生・・払えば落ちるって、きみは犬かね(^o^)
長谷川先生もびっくりの理論展開。
続きは、しばらくお待ちくだされm(__)m
2018/07/10 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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