ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

the five senses-3 瞳の浮遊(2) ♥

「どう、って・・・そんな、言えるわけ、」
 懸命に抗ってはみたが、案の定却下された。ニヤリ、と向井の瞳が笑う。
「言ってくれないと、どうすりゃいいのか判んないぞ。男とこういうコトするの、俺も初めてなんだから」
「嘘、でしょう・・・っく、手慣れすぎっ・・・!」
「慣れてないよ。ほら」

 手首を握っていた指をほどかれたかと思うと、その指が巧みに動いて長谷川の指を掴まえる。てのひらを合わせる形で五指を絡められ、そのまま引き下ろされて、向井の左胸に当たる位置で解放された。ちょうど、心臓の位置。
「な。バクバクいってる。実は、身体に悪いくらいテンパってる。余裕ありそうに見えるとしたら、それはその分、おまえの感度が上がりすぎてるだけだ」
「・・・は」

 向井の胸に手を当てたまま、長谷川は一瞬呆気にとられ――それから、クス、と笑ってしまった。
「悪いのは俺、ですか?」
 文句を言ってはみたが、大真面目に返された。そうだよ、と。
「おまえが悪い。・・・そんなに可愛いから」

 可愛いなんて言われて喜ぶなんて、俺はどうかしちまったんじゃないだろうか。
 そんな自嘲は、すぐに溶かされて流れ落ちた。欲望を煽る向井の瞳に。誘う指と舌の動きに。
 ――もう、どうとでもなれ。
「じゃあ、・・・たくさん、キスして下さい。いろんなところに」
 ねだる言葉は、一度口をつくと次々に出てきた。
「んっ・・・跡、は、見えるところじゃなくてっ・・・違っ、そこは、だめ、って・・・!」
 無我夢中で訴えても、返されるのは拒絶と許可が半々といったところ。でもどちらも余計に熱を掻き立てていく。・・・後戻り、できなくなる。
「見えるところに付けないと所有印の意味をなさないだろ。・・・大丈夫、きつめにネクタイ締めたらぎりぎり襟で隠れる。多分な」

「じゃ、俺にも・・・付けさせて、くださ・・・っはぁっ、あなたに・・・しるし、」
「いいよ。どこにでも付けろ。好きなところに」
「っあ・・・ふ、先生・・・せんせい、」
「違う、統。呼んでみろ、統って」
「無理っ・・・ハードル、高すぎ・・・っ、」
「ふーん? じゃあ俺だけ呼んでやる。・・・大貴、」
「く、っ、あっ・・・! あ、」
「大貴・・・っ」
「あぁ、う、あ・・・っ!」

 全てを取り去られたのはいつだったのか、よく覚えていない。気づいたら欲望の中心を暴かれ、丹念に舌と指で愛でられて、そこで一度達かされた。
「あ・・・ふ、ぅ・・・んぅ、」
 上がりきった呼吸を何とか整えて、向井に同じことを返そうとしたが、くるりと身体を反転させられてしまった。ベッドのヘッドボード越しに壁へとすがらされ、膝立ちの姿勢を取らされる。
「・・・っは、あ・・・ふ、ぁ!?」
 ざわり、と向井の唇が背筋を這う。身体の中心が再び滾り、熱い芯が通る。容量を増したそこはヘッドボードやくしゃくしゃになったリネン類で擦られ、更に膨張していく。
 それだけで意識が飛びそうになっているのに、向井の熱い身体がこの時、長谷川へと覆い被さってきた。壁に立てていた指に、向井の指が重なり絡まる。耳孔に直接吹き込まれてきた囁きは、
「・・・擦るぞ」

「はっ・・・っあ!」
 会陰に押し当てられた向井の昂ぶり。それを前後に激しく擦られて、頽れそうになる。が、手を掴んで引き上げられ、せめて背中を撓めて欲望を逃がそうとする。その一方で、自ら押しつけるように身体が動いているのも、長谷川は意識の片隅で感じていた。
 おかしく、なる・・・っ、
「は、ぅあ、っく、んんん・・・っ!」

 今度は向井も一緒に達した。それがひどく嬉しくて、長谷川は身体全体で息をつきながら、ぎこちない動作で振り向く。
 焦点がうまく合わないのは、涙がにじんでいるせいだろうか。探すような仕草で瞳を泳がせ、向井を求める。
 すると、まず唇が迎えてくれた。優しい、包み込むようなくちづけ。ああ、と長谷川は目を閉じる。向井先生・・・、
 ここにいる。俺のすぐそばに。
「・・・大貴、」
 好きだよ。
 触れ合わせたままの唇が辿ったその言葉を、長谷川も口移しに返す。自然に口元が微笑みの形になっていた。次いで薄く瞼をひらく。
「俺も、好きです・・・統、さ、のこと、・・・すごく」
 やっと視界の焦点が合った。長谷川のその瞳が最初に捉えたのは、向井の笑顔だった。
「うん」



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Date:2014/06/29
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2014/06/29 【-】  # 

* Re: koさまv

やった、(*^_^*)マークいただけましたか!

しかもそんな香りつきで読んでいただけて♪ ホッと胸を撫で下ろしております。良かったわー。
何しろBLのラブシーンをまともに書くのは初めてだったので、手加減が判らないというかですね(笑)
でもやっぱり、愛のあるラブシーンが書きたかったんです。男女カップルを書く時と同様。

長谷川センセ、今日も可愛いしね! 泣かせたくない、って思っちゃうのは向井センセばかりではないということで。
明日も一応♥が付きますが、一部の専門用語についてのR18なので(笑)、全体的には甘々です。
読んで、ほっこり幸せになっていただけるといいな~(^^)



2014/06/29 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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