ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

白衣シンドローム(7)

「イントーコートーイジョーカンショー?」
 案の定、優莉は目をぱちくりさせてこの病名を聞いたが、近衛から一通り説明を受けて納得したらしかった。
「要するにストレスってことですね。それならかなり、思い当たる節があります」
 そんなことをしたり顔で言って、付き添っている長谷川を苦笑させたりなどした。

 というか、最後の診察にまで何で俺が付き添っていなきゃいけないんだろう、と長谷川としては思わずにいられない。
 敢えて自分で自分を納得させるならば、一番には、長谷川先生もどうぞと近衛に言われたから。二番目には、優莉にも「ひろちゃんもいて」と希望されたから。いずれにしても、致し方なく。

 しかも優莉ときたら、別に言わなくてもいいのに、
「先生あたしね、最近失恋したばっかりなんです。相手はカフェの店員さんで、半年通い詰めた挙げ句にやっとのことで告白したら、もう彼女がいるって。あそこのカフェラテも美味しかったのにもう飲めなくなっちゃって」
 そんなことまでツルツルと喋るから、長谷川はますます苦笑するしかない。済みません、と近衛にこっそり目顔で詫びたが、近衛はそれにはごく短い微笑で応じた後、ごく真面目な表情で優莉へと向き合った。
「そっか。大変だったんだね。・・・夜は眠れてる? 軽めの安定剤、あまりお勧めはしないけど、短期間だけ飲んでみるのも手だよ」

 偉いなあ近衛先生は、と長谷川はつくづく思う。こうでないと外来なんか持てないな。
 俺はまだまだだ、と痛感し、そのことが何だか逆に嬉しかった。この気持ちを向井に報告したいと、瞬間的に、でも切実に思う。
 
 そんな長谷川の内心など知らぬげに、優莉はこっくりと頷いてからこう言った。
「あんまり眠れてなかったけど、でももう大丈夫だと思う。新しい恋、見つけた気がするから」
 ・・・新しい恋? おい、相手は、まさか!? そう問い詰めたい衝動にかられる。勿論、我慢したが。
 内視鏡室で、優莉はぼんやりしていたように見えたけど、でも向井のこともちゃっかり視界に収めていたのかもしれない。そして、いい男発見、などと思っていたのかも。

 そんな懸念を懸命に打ち消そうとしている長谷川をよそに、近衛はニコリとした。
「ああ、それは良かった。失恋の特効薬は新しい恋愛だっていうから」
「でしょー? 近衛先生って話が判るなあ!」
 優莉は盛り上がっているが、長谷川はさすがに見かねた。背後から歩み寄って肩に手を置き、押しとどめようとする。
 しかし、長谷川のその手を優莉がつかまえる方が早かった。振り向きざまに長谷川を見上げ、次いで近衛へとまた向き直って言い放つ。
「じゃあ近衛先生も応援してね、イトコ同士の恋愛を! ってことでひろくん、私と付き合お?」
 

→ BACK
→ NEXT



*拍手クリックで御礼SSに飛びます。
ぽちっと楽しんでいってくださいませ♪

*このお話が気に入ってくださった方はこちらも是非ぽちっと♪
ありがとうございます、大変励みになってます!

*    *    *

Information

Date:2014/08/10
Trackback:0
Comment:2

Comment

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014/08/10 【-】  # 

* Re: koさまv

ああ、今日も(*^_^*)マークいただいてしまって、何だか恐縮です・・・(><)

優莉め! なんかイラつく!(←こらこら作者・笑)
優莉ちゃんには女の強かな面、図々しい面を発揮してもらうとともに、可愛いところもちゃんと書きたいとは思ってるんですけど・・・どうだろう・・・
ともあれ、一緒に司先生にごめんなさいしていただいて、ありがとうございます┏○ペコ

長谷川先生の受難はこれからが本番です。
どうかどうか、応援してやってください!
2014/08/10 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://kisschoko.blog.fc2.com/tb.php/61-87d8875d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)