ただ好きだという、この気持ち。

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今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(50)

 概要: 「・・・何?」 長谷川がなかなか手を伸ばせないでいると、葉子は焦れたように封筒を突きつけてきた。「手紙、書いたんだって。あたしが大貴に会ってくるって言ったら、渡してくれって。・・・やっぱり気にしてんのよ。母さんもね、口には出さないけど」 ここで葉子は、不意に苦笑した。諦め口調でこう続ける。「気にしてないのは香葉くらいかな。あの子、マイペースだから」「・・・それくらいでいいんだよ」 つい本音をもらした長谷川...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(51)

 概要:  もう一度テーブルをバンと鳴らし、五百円硬貨を置いて。 そうして葉子はさっさと店を出て行ってしまった。呆然としたままの長谷川のことなど、一顧だにせず。「・・・って」 どうしろってんだよ、と思わず独りごちる。 ふと視線を感じて顔を巡らせると、カウンター席にはまだジャージ姿の老人がいて、興味津々の視線を向けていた。 それには再び背を向け、長谷川は深々と嘆息した。手を付けていなかったコーヒーはすっかり冷め...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(52)

 概要:  父にはいつも、賃貸物件を借りる際の連帯保証人になってもらっている。 今住んでいるマンションも然りだ。最初に向井と隣どうしの部屋に入居する際には、契約書を父宛に送り、署名・捺印してもらって、印鑑証明その他の必要書類と一緒に返送してもらった。 その後、マンション内での転居をすることになるわけだが、その時は部屋の更新時期とも合致していたため、契約手続きは簡略化してもらえた。 とはいえ一応、転室とそれに...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(53)

 概要: 『この調子だと、考えている間に1年経ってしまいかねない。 だから、文章にするのは諦めた。あしからず了承願う。』 背中を丸めて困り果てている父の姿が目に浮かび、長谷川は小さく微笑した。 そんなに悩むのなら、手紙なんか書こうと思わなければいいのに。 そもそも、こんな勝手な息子のことなど放っておけばいいのに。 ・・・家族よりも向井先生を、俺は取ったのに。  揺れる気持ちとは裏腹に、長谷川の目は手紙の続きを...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(54)

 概要:  正直、刺さった。 母の手紙の、最後の一行。 というか、と帰路を辿りながら長谷川はせめて、姉へと八つ当たりする。 母さんからの手紙も入ってるなんて聞いてない。後出しじゃんけんはずるい。こっちが負けるに決まってる。  ――大貴が就いた医者という仕事は、人を疑うことからじゃなく、信じることから始めるんじゃないの? そのとおりだ。診察を始める時はまず、患者の訴えが全て真実だと規定することからスタートする。...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(55)

 概要:  ガタンと大きく電車が揺れて、長谷川は我に返った。つり革を掴み直しながら、改めて考える。 ええと、何だっけ――そうだ、人を信じるところからって話だ。 それにしても、と長谷川の思考は再開早々、またも横滑りする。それを承知していながらも、つい考えずにいられない。医者の何たるかを母に指摘されるとは思わなかった、と。 もしかすると、身近にそういう医者がいるのかもしれない。たとえば、今回伯母が持って来た見合い...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(56)

 概要:  確認してみると、やはり向井からだった。 いつものルーチンメールだ。長谷川も指を動かして、短文をやりとりする。 その結果、現時点で降車駅まで戻っている向井に、今夜の夕食を調達してもらうことになった。何かリクエストは、と訊かれ、『もう一品』――マンションの近くにある、行きつけの総菜屋だ――のスープと向井先生の好きなものを何でも、と返信する。 そこまでは、よかったのだけれど。「・・・はあ」 電車は順調に走り...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(57)

 概要:  何とかやってみよう、と思う。誤魔化せる気はしないけど、それでも何でも、自分の気持ちは変わらない。 父に倣って、箇条書きでまとめてみる。 ・家族が何と言おうと向井先生の方が大切。 ・向井先生との人生を守るためなら俺は何でもする。 よし。「・・・ただいま帰りました」 第一声は、普通の調子で言えたと思う。そのことにまず長谷川は安堵した。 が。「おう、お帰り」 キッチン方面から向井の声がして、次いで本人が...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(58)

 概要: 「話、って、」 玄関先に立ちつくしたまま、呆然とそう繰り返した長谷川に、向井は手を差し伸べてくれた。 向井の手につかまって、促されるままに靴を脱ぎ、そのまま部屋へと上がりながら、長谷川は急に胸が熱くなる。 これと同じこと、ちょっと前にもあった。あの時とは、する方とされる方が逆だったけど。「俺は欲張りだからな」 一方の向井は、長谷川の背を押してリビングへと歩を進めながらこう言った。「おまえが俺といる...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(59)

 概要:  とはいえ本当にスーツのままで夕食を食べるのもどうかと思い、長谷川はのろのろと立ち上がると部屋着に着替えて、サニタリーで手洗いとうがいを済ませた。 そうしてリビングに戻ると、こたつテーブルの上には夕食の支度が出来上がっていた。 皿の上に盛りつけられ、ほんわかと湯気を立ちのぼらせている料理。そして既にこたつの中に収まって、人待ち顔で長谷川を見上げてくる向井。 それらは、つい微笑みを返したくなる光景で...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(60)

 概要:  食べてみると確かに、どちらもとても美味しかった。 ビーフシチューは具だくさんで、にんじんの赤とじゃがいものベージュ、ブロッコリーの緑が目にも鮮やかだったし、角切り牛肉はスプーンで切れてしまうほどやわらかく煮込まれていた。 褐色のシチューは、それらの風味が溶け合っていて深いコクがあり、メイン料理として成立していた。バゲットがよく合って、最初に切ってあった分だけでは足りずに途中で長谷川が立ってお代わ...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(61)

 概要: 「・・・・・・」 全部、と言われると途端に、何から話せばいいのか判らなくなった。長谷川が余程途方に暮れた顔をしたのだろう、向井は小さく笑ってから言い直した。「じゃあ、今日の出来事。・・・何かあったんだろ」「どうして、」 思わず問い返していた。どうしてそう思うんですか、と。 すると向井は、事も無げにこう答えた。「帰ってきた時の顔を見たら――いや、その前に、声で判った。ただいまって言ったおまえの声、いつもと違っ...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(62)

 概要:  早く話を終わらせなければ。そう思った。 だって明日も仕事なのに。早く介抱してあげなければ。向井先生を。「姉は義兄とアジア家具の店をやっていて、その買い付けに出る都合もあって・・・あと、両親から僕に宛てた手紙を預かったって。それで来ただけなんです。僕から言うべきことはもう言いましたし、そもそも正月で終わってた話なんです。だから」 せかせかと言いつのる長谷川を、向井は仕種で押しとどめた。話って、と、落...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(63)

 概要: 「・・・先生」 かぶりを振りながらも、身体は逆に向井へとしがみついてしまう。そんな弱い自分が、長谷川は情けなくてくやしい。 せめて言葉だけは、きちんと発しようと思うのに、涙があふれてきて邪魔をする。「何もかも、手に入れることなんて、できないんですよ。・・・何かを得たかったら、何かを捨てなきゃ、駄目なんです」 それでも長谷川は、意地で最後まで言い切った。泣いている顔を見られたくなくて、向井の胸に額を押し当...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(64)

 概要: 「ちょ、先生、」 やっとのことで口を挟んだ時には、長谷川の涙は止まっていた。否、止まらざるを得なかったというべきか。 ついでに抱擁も解いて、向井と視線を合わせながら、諭す口調でこう言う。「僕に言われても困ります」「判ってる」 ところが一方の向井は、意外にもあっさりと頷いた。そうして、淡々とした口調で言を継いだ。「だからこういう話をしに、おまえの家族のところに行きたい。いつなら会える?」「こういう話...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(65)

 概要: 「も、お・・・向井先生、」 せっかく止まっていた涙がまたあふれそうになって、長谷川は慌ててティッシュを引き出すと顔に押し当てた。目だけを出して、向井を睨む。「格好良すぎです」「まあな」 向井はというと照れた様子もなく、ふふんという調子で笑った。そうして、今度は優しく、長谷川の髪を掻き上げてくれる。「おまえは仕事でなら複眼的に思考できるのに、プライベートとなるとどうしてそうも視野狭窄に陥るんだ。立場を...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(66)

 概要:  そんなわけで――というか、どんなわけなのか実は長谷川にもよく理解できていないのだが。「あ、・・・姉ちゃん? うん。大貴」 翌日の休憩時、長谷川は病院の屋上に出ると、姉に電話をかけた。別に屋上でなくてもいい気がしたが、院内には至る所に人がいる。そうでない場所というと、ここしか思いつかなかった。 真冬、吹きさらしの屋上。案の定、人っ子一人いない。「うん・・・例の件。相手の人に、話した。そしたら、うちに挨拶に...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(67)

 概要: 「家族と顔合わせ?」 抗議する長谷川をまあまあと仕種で押しとどめつつ、忍足はいきなり核心を突いてきた。 大変だね、と続けて言われ、長谷川の肩から力が抜ける。「・・・はい。大変です」   つい素直に認めてしまったのは、弱ってるからかな。 自分でもそう思いながら、長谷川はふと思いついて訊いてみた。「忍足先生は? 佐上先生とのこと、ご家族には?」 何となく予感はあったが、案の定、言ってないよとさらりと返さ...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(68)

 概要:  対する忍足は、一瞬、長谷川をじっと見下ろしてから。 ああそう、と言って笑った。「まあ頑張って」 そう言い置くと、踵を返してさっさと歩き出してしまう。 何しに来たんだろう、あの人。ぽかんとしてそう思っている長谷川を、忍足はドアの前から振り返った。「五○五号室の月山さん、胃カメラもうじき始まるよ。立ち会うって言ってなかった?」「あ、はい」 慌てて駆け寄った長谷川を、忍足は重い金属製のドアを引き開けて...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(69)

 概要:  いつになく長谷川が素直に態度に出たのが嬉しかったのか、葉子の働きはめざましかった。 長谷川が電話をしてから三日後には、一征と香葉と優莉の都合が合う日時がリストになってメールされてきた。 それを見た瞬間の長谷川の感想は、正直にいうならば「うわあ」という一言につきた。ただしそこにはいろんな思いがこめられてはいたが。「・・・話が動き出しちゃいましたよ、先生」 その思いの中でも一番大きかったのがこれだった...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(70)

 概要:  問い返した長谷川に、向井は真面目な顔でこう言った。「あの子は言わば、俺たちが出来上がった時の目撃者だ。近衛先生が懲罰人事で甲府に飛ばされた時も、ムキになって首を突っ込んできた。こっちサイドに一番近いところにいるのがあの子だと思う」「ああ・・・そういえば正月の時も、家族が詮索するのを止めようとしてくれてました」 思い出しながら長谷川が言うと、向井はよしよしというように頷いた。「上出来だ。おまえからも...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(71)

 概要:  その日の日中、というより仕事中は、無理矢理切り替えていられたものの。 白衣を脱いで病院を出た途端に緊張してきて、長谷川はうんざりした。 向井とは長谷川の降車駅で待ち合わせていて――そこからなら一本で葉子の店がある街まで行ける――、その時間には多少の余裕があったが、こうなったら一刻も早く行ってしまおうと足を速める。 と、「ひろくん!」 背後で優莉の声がして、長谷川はぎょっとして振り向いた。すると優莉が...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(72)

 概要:  二人で言い合い、うんうんと頷き合う。 優莉を頼るのは些か不本意だったが、もうそんなことは言っていられない。とにかく今は、これからの第一次顔合わせを乗り切ることだけを考えよう。 暴れっぱなしの心臓を努めて無視しつつ長谷川がそう考えていると、優莉がうふふと笑った。「ドキドキするけど、ちょっと楽しいね。レジスタンスの一味って感じで」「・・・あのね、優莉ちゃん」 こっちは真剣なんだから、と、ピリピリした声...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(73)

 概要:  待ち合わせた中央改札前には、既に向井の姿があった。 あ、と長谷川が思った瞬間、向井もこちらに気づいたらしく、人待ち顔がふわりとほどける。 思わず長谷川も頬をほころばせ、手を挙げかけたその瞬間、「向井先生!」  ぶんと風を切る勢いで優莉が挙手し、それを大きく左右に振った。「久しぶりー! 元気そう、ていうかちょっと太った?」 長谷川が止める間もあらばこそ、ダダダと全速力で向井へと駆け寄っていく。 手...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(74)

 概要: 「・・・ねえ、それ褒めてないよね?」 ふくらませた頬はそのまま、眉間に皺まで刻みつつ、優莉は向井を睨み上げた。まあ当然だな、と長谷川も思う。 が、「褒めてるじゃないか。きみには敵わないと素直に認めてる」 一方の向井は真面目くさった顔をしてこう返した。その傍ら、長谷川を視線で促してくる。「あ、そうだよ優莉ちゃん。頼りにしてるんだから。俺も向井先生も」 長谷川もまた目顔で頷き、指を立ててこれから乗るべき...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(75)

 概要:  以後は、二人の近況を根掘り葉掘り訊いてくる優莉を、向井と一緒になって何とかはぐらかしている間に、姉夫婦の店に着いた。 大きな通りから一本脇道に入ったところにそれはあり、ドアにはクローズの札が掛けられてはいたものの、内側にはオレンジ色の灯りが灯っていた。 店舗名がプリントされたオーニングの下に、何とはなしに三人並んで立つ。 誰もが、誰かが動くのを待つような、そんな間に耐えられなくなったのは長谷川が...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(76)

 概要:  店舗名は『トーチカ』。アジア系輸入家具及び雑貨を、実店舗並びにネットショップにて扱っている。 代表取締役は大友一征。その妻である大友葉子が店長をつとめ、常勤二名とバイト二名の店員を率いて営業中である。 一征と葉子の経営手腕の程は、長谷川には今ひとつよく判らないのだが、恐らくやり手の部類に入るのだろうと思う。 たとえばこの実店舗。開店当初は、複合ビルの一階部分のみだった。それが三年前、二階に入って...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(77)

 概要:  この瞬間。 長谷川は不本意にも、思考停止に陥ってしまった。 要因としては――後で落ち着いて挙げ連ねるならば――いくつもある。 いきなり核心を突かれてしまったこと。 「まさか」という言葉が付されていたこと。 香葉のその台詞に一征も葉子も「そんなわけないだろう」という顔をしたこと。 それならあなたは何者ですか、ここは親族だけの場ですよという、あからさまに不審げ且つ不快そうな表情で、一征と葉子が向井を見た...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(78)

 概要:  思わず長谷川は、向井のスーツの袖を握っていた。 普段の向井なら、長谷川の手を握り返すか、せめて背に手を当てるか、何らかのスキンシップで落ち着かせようとしてくれる状況だったが、そうはせずに突っ立ったままでいたのは――やはり向井も度を失っていたのかもしれない。 対する長谷川家側の面々も、概ね似たような有様だった。 目が点になる、という表現そのままの表情で固まっている一征と葉子、そして、「・・・まあ座った...

今だけ在ればいい。] ワンダフルライフ(79)

 概要: 「違わないですね」 香葉は、空いていた三人分の席にカップを置いてくれたのだが。 向井はその場に立ったままでいた。そして、葉子と視線を合わせて、こう答えた。「見た目も中身も男です」「それでどうして大貴と、その、付き合うとか、ましてや結婚がどうのとか・・・あ、もしかして大貴が頼んだの? 勢いで婚約者がいるって言っちゃったから、辻褄合わせに偽装・・・」 言いながらどんどん混乱していく葉子を、向井はむしろ同情す...
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