ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

ワンダフルライフ(88)

「うん。俺も向井先生、嫌いじゃないかも。って面と向かって言うのも何だけど」
 声音に微笑を含ませて、一征がこう言った。
「俺はさ、葉子とずっと付き合ってても、結婚の許可をもらいに行く前の晩、死にそうにドキドキして眠れなくて、当時の朝は下痢して、もう行きたくないとか思ったもん。なのに向井先生は、言わば敵陣に丸腰で乗り込んだようなもんだろ。なのに堂々としてて、素直にすげえなと思うよ。だからほんと、良かったよ。大貴くんが連れてきたのがこういう人で」

 実はね、と一征は、秘密を打ち明ける口調になると、続けた。
「お義父さんとも言ってたんだ。・・・大貴くんがどんな人を連れてきても、反対しないでおこうって」
「・・・え」

 呆然、という声を出したのはてっきり自分だと長谷川は思ったが、そうではなかった。
 長谷川に輪を掛けて呆然とした葉子が、忙しなく瞬きをしてから、やっとのことで言葉の続きを引っ張り出した。
「何よそれ? 初耳なんだけど! どんな人って、どんなに問題のある人でも賛成することにしてたってこと!?」

「や、だって、大貴くんがこんなに好きになった人だよ?」
 と一征は葉子へと向け、淡々と繰り返す。
「法に触れたりとか、人道的に困ったところのあるような人だったりとかは、まあ、ないだろうって。だったらもういいよね、ってお義父さんとも」
「・・・だから何よそれ!?」

「翻訳すると、イッセイのくせにかっこよすぎて反則、って感じ?」
 優莉がひょいと口を挟み、香葉がアハハと笑い声を上げた。
「それだー! ま、過去の打ち明け話はかなりかっこ悪かったけどね。後半で一気に挽回したね。ねっ、お姉ちゃん!」
「何言ってんのよ、最終的にかっこよければいいのよ。反則もへったくれもないわよ、自分の旦那がかっこいいなんてめでたいことでしょ!」

 ムキになって言い返した後で。葉子はムッとした顔のまま、長谷川へと向き直った。ぴしゃりと叩きつけるような口調で言い放つ。
「自分が好きになった相手から好きになり返してもらえるなんてね、奇蹟なのよ奇蹟! 特に大貴の場合は、宝くじの一等に当たるくらいの確率じゃないの。一等っていったら五億とか七億とか、前後賞合わせたら十億とかよ。それくらいの価値があるの、この人?」

 葉子の異様な迫力に圧されつつも、それでも最後の問いかけには断固として頷いた。そんな長谷川を見下ろしたまま、葉子は目元だけで笑う。
「だったら、みんなにも好きになって欲しいとかヌルいこと言ってんじゃないの。どうだ、って威張ってりゃいいのよ。で、父さんと母さんにも、この人です、ってバーンと叩きつけてやんなさい。・・・他のことはもう、心配しなくていいから」


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Date:2018/05/09
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2018/05/09 【】  # 

* Re: 何かあるとトイレにこもる人>イッセイさん

hちゃんこんばんは~♪

うひゃー、卵爆発事件! 大変だったね~~!!(><)
卵と牛乳は、加熱時に凶器となり得る物体ナンバー1&2だよね(; >д<)
いやー、返す返すもお疲れ様でした・・・今日は早く寝てくだされー☆

さてさて、緊張すると腹が痛くなるばかりかピーピーにまでなっちゃうイッセイさん(^o^)
もしも長谷川先生が悪い女に騙されてたら、法に触れてるもしくは人の道に外れてるケース該当で反対しただろうけど。
そういう事態になりませんようにって、ものすごーくお祈りしてたと思う(^o^)
この場で一番安堵してたのはイッセイさんじゃないかなー。
(向井先生と長谷川先生は、安心するまでの余裕はまだないと思う・苦笑)

好きな人に好きになり返してもらえるなんて、ほんと奇蹟だよねえ(*^_^*)
そして周囲の人に反対されたり絶縁されたりしなかったのも奇蹟よ!
今まで長ーーいことかかりましたが、取りあえず第一段階クリアってことで、明日から少しの間は向井&長谷川の二人に戻ってらぶらぶします(^^)
2018/05/09 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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