ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

ワンダフルライフ(108)

 それぞれの勤務病院で、回診と必要な指示及びオーダーを済ませた後、降車駅で待ち合わせた。
 先に着いていたのは向井で、長谷川が遅れたのは新入院患者の爺さんにごねられたからだったのだが、向井の姿を見た途端に長谷川の頭からは何もかもが吹っ飛んでいた。
 ただひとつの欲望を除いては。

 だから、
「夕メシどうする? おまえも疲れただろ。何か食ってくか?」
 向井にこう訊かれた時、長谷川は迷わず首を横に振り、こう答えた。
「お腹はぺこぺこですけど、食べたいものは食料品じゃありません」
「・・・ふうん?」

 向井の唇の端が上がる。愉快そうな、からかってでもいるかのような表情。なのにメガネの向こうの瞳は既に、ぞくりとするような光を湛えていて、瞬時に長谷川は悟る。
 向井もまた、自分と同じ気持ちなのだと。

 だから長谷川がこう付け加えたのは、言わずもがなのまさに蛇足というやつだったのだろう。
 それでも、言わずにいられなかった。声が喉に絡んで、少しかすれる。
「今度は僕が先生に、よくしてもらう番・・・でしたよね? 両親との顔合わせが済んだら――もしまた勃たなくても無理矢理にでも、」
「ああ」

 短く遮られ、同時に腰をぽんと叩かれる。コートの上からなのに、向井の手のひらの形がまざまざと感じ取れて、軽く飛び上がってしまう。
 そんな長谷川を見やり、向井はもう一度にやりとした。
「帰るぞ」
「・・・はい」

 もう歩き出している向井の後を追いながら。
 長谷川は決意していた。またシャワーを浴びるところからやり直すとしても、今回は一人ずつ順番にバスルームに行くよう提案しよう、と。
 そんなことを言うと、勃つかどうか一人で確かめたいのか? とか何とか、またからかわれそうだけれど。
 そうじゃなくて、今夜触れられたらきっと簡単にとろけてしまうから。それなら、どうなっても安心なベッドで、思う存分溺れたい。

 向井先生、・・・あなたに。


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Date:2018/05/29
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2018/05/29 【】  # 

* Re: 旦那さんとは違う方向に取り乱す新妻♪

hちゃんこんばんは♪

おうぅ、リコメ送信したと思ってたらできてなかった(>_<)
気を取り直してもう一度~。

おしゃぶり昆布だネ! それを噛みまくるだよ!
私も、晩御飯しっかり食べたくせに、その直後にお菓子をガツガツ食べてしまう・・やばいんです・・
一緒におしゃぶり昆布にチェンジだネ!

あ、多肉、今年もhちゃんちでは種がとれたんだね~。偉いわ!
私なんて、花が咲いてもそのまま放置するから、種もいつの間にかどっかいってる(>_<)
無事育つよう祈ってるよ~!

さてさて、今日の新婚さんは、もー、天下の往来でハレンチな会話しちゃってー!(//ω//)♪
長谷川先生も、いろいろありすぎて、頭のネジが数本飛んでしまったようです(^o^)

そんなわけで明日からは当然のように、アハンウフンな回に突入でございます☆
溺れるよ~溺れまくるよ~!
と同時に、長かったこのお話もようやく終わりが見えてきました(^^)
もうしばらくお付き合いのほどをー!
2018/05/29 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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