ただ好きだという、この気持ち。

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◆ありふれた風景24(6)◆

 長谷川は一瞬絶句し、その後でみるみるうちに頬が熱くなっていくのを感じた。
 キッと向井を睨みつけたつもりだったけれど、そうできていたかどうかは判らない。

「・・・そ、んなの、自分では信じられません」
「信じていいよ。本当のことだから」
 一方の向井は、完全に愉しんでいる風情だ。それが長谷川には、余計にくやしい。
 しかも、

「近視にもいいところがあるって、初めて気づいたな。裸眼のボケた視界も、時と場合とによっては悪くない、というか、むしろいい」
 こんな言葉を、これみよがしに呟いてみせる。あまり気は進まなかったが、長谷川は一応、こう訊き返してやった。
「聞かない方がいい気が、すごくするんですけど。一応お尋ねします。・・・時と場合って、どういう?」
 
 ベッドの中、というのが向井の答えだった。ああ、と長谷川は頭を抱えたい衝動に駆られる。最早、耳まで熱い。
「唇が届く範囲でなら裸眼でも見え方に問題はないし、ちょっと距離をおいてボヤけても、それはそれで趣がある。何しろあの時のおまえときたら、」
「あ、あのっ、もう説明はいいです! 先生良かったですね、近視にもいいところがあって!」

 手を振り回したいのは辛うじてこらえたが、声が大きくなるのはどうしようもなかった。
 そんな長谷川を、向井は満足そうに見やりつつ、グラスを干した。
 おかわりを作りに立ったその背中を、長谷川は恨みがましい視線で追いかける。そして思う、また湯気を浴びてメガネを曇らせたら笑ってやる。と。
 どうせ、自分で意図したような嘲笑にはなり得ないのは判っているけれど。

 ああほらやっぱり、と、それからすぐに長谷川は、その予想を映像で確認する羽目になった。
 曇りが取れた向井のメガネに映りこんだ自分の顔は、愛おしさがあふれてこぼれたような、そんな甘い笑みを浮かべていた。


end.


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Date:2018/07/01
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2018/07/01 【】  # 

* Re: デレデ~レ

hちゃんこんばんは~♪

さささ三男くん! 143歳ってあんた、おかーさんを掴まえて!∑(・Д・・)
いやまあ3桁の数字が言えただけ偉いとすべきね(^ω^;)
いいさ~いいのさ~妖怪上等☆ 私も髪の毛なんとかしてもらって143歳にならねば('∀')♪

次回の拍手SSは、今度の土曜に入れ替えまっす。
結局ね、延びに延びて(8)になったわよ! 新記録よ、ていうかこんなんならレギュラー連載にしたら・・・(-_-)
いやでも敢えて拍手SSでいきます! それに、再録する時って常に更新に困ってる時だから、8回もあったら随分と時間が稼げる←姑息。
というわけで土曜日、お楽しみに♪
あと、現在の毛のSS(笑)もそれまでなので、宜しくどうぞです☆

さてさて。
嫁ラブと旦那ラブの2人、まあいつものことですが、ラブラ~ブなまま終了でございます(^^)
ほんとにもー、幸せそうで何よりよ!
そんなこんなで今は、あさってから連載する次のお話を書いてます・・・が、ようやく土曜日分までは出来た~。相変わらずの自転車操業(><)
作者はぜーハーいってますが、本編の向井&長谷川は相変わらずラブラブです。ちっ。←
2018/07/01 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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