ただ好きだという、この気持ち。

□ ごめんなさい大好きです □

もう一度、もう二度と(8)

 例の話?
 その一言で、司はまたもや固まってしまった。何だ、例の話って。学が悩んでたのはもしかしてその、
「・・・どいて下さい」
 一方、学は顔を背けると短く言い捨てた。そのまま、男の傍をすり抜けようとする。

 それだけで充分だった。
 学は嫌がってる。そう認識した瞬間、司の身体は自由を取り戻した。
「・・・学!」
 と同時に自分でもどうかと思うような大声が出た。案の定、学はびくっとして振り返る。
「司さん・・・?」

 大きく見開かれた瞳が、どうしてここに、と問いかけていた。だが司は敢えてその問いを無視した。
 代わりに一気に学へと距離を詰め、その腕を掴んだ。ぐいと自分の方へと引き寄せ、そのまま背後へと庇いこむ。
「迎えに来たんだ。・・・それでこちらは?」

 尖った声でそう問うた相手は、学ではなく目の前の男だった。誰だよあんたは――学に何の用だ。そんな、言外の意味を嗅ぎ取ったのか、男がうっすらと笑う。
「ふーん、じゃあこの人が例のセンセイ? 玉の輿に乗ったよね、ガクくんは。ショウとはえらい違いだ」
「・・・帰るぞ」

 会話にならない。というより会話する価値もない。そう断じて、司は学の腕を掴んだまま歩き出そうとした。が、
「おっと、申し遅れました。私、こういう者です」
 男がひょいと身をかわしたかと思うと、上着の内ポケットから名刺入れを取りだした。慣れた手つきで一枚抜いて、司の目の前に突きつけてくる。

「――司さん、」
 だがそれは、学によって振り落とされた。正確には、司の手を振りほどいて前へと割り込んできた学によって。
 男の指からはじき飛ばされた名刺が、ひらひらとアスファルトの上に落ちる。

 おやおや、と言いたげな顔をしている男からは目を背けたまま、今度は学が司の袖をつかんだ。
「行きましょう」
 固い声でそう言うと、そのまま歩き出そうとする。
 が、今度は司がその手をかわした。上体をかがめ、落ちた名刺を拾い上げる。
「映像プロダクション・・・プロデューサー?」

 臥龍岡一善、という氏名に附されたルビは、ナガオカ・カズヨシ。
 だが司はそれを無視して、肩書きの方を声に出して辿った。男の薄笑い混じりの声が被さってくる。

「具体的にはゲイビをね、作ってます。現場、人手不足なもんで、俺がディレクターも兼ねてて。ああ、名前、ウソみたいだけど本名なんですよ。ナガオカってこれ、龍が臥せると長いからってことでね、こう書くんですって。で、一日一善の一善で『かずよし』。名前負けしてるでしょう。ってのはどうでもよくて、ゲイビ、判ります? 偉いセンセイは知らねえかもなあ。ゲイビデオ。ゲイのAVですよ」


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Date:2018/09/14
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2018/09/14 【】  # 

* Re: 揺れ動く王子と姫(´・ω・`)

hちゃんこんばんは~♪
ポテチ! 危険よね! 開けたら最後まで食べちゃう~、だから小袋にしても複数食べちゃう~(>_<)

でもいいのよ! 最近の異常気象を見るにつけ、食べたいもの我慢したり家を直したりしても、長生きできる保証はないなと実感・・だったらもう、ねえf(^_^)

さてさて、今日はメガネ男の氏素性が明らかになりました~。氏素性だけだけどね(^o^)
それにしても、今朝もhちゃんを泣かせてしまったわ・・ごめんねごめんね!
王子様は姫のもとへ駆けつけましたが、姫は姫は・・(>_<)

果たして王子と姫は、力を合わせてゲイビ男を撃退できるのか!
って、果たして、って・・ねえ(´・ω・`)
2018/09/14 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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