ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

星屑が降ってくる(1)

 向井の部屋は、長谷川が予想していたよりずっと早く片付いてしまった。
 具体的にいうならば、週末二つ分。たったそれだけで段ボールは姿を消し、代わりに見覚えのある家具や生活用品、本などが取り出されては、あるべき場所へと収まっていった。居心地のいい乱雑さを、部屋のあちこちにとどめつつ。

 どうやら向井は平日も、勤務の合間に少しずつ作業を進めていたらしい。
 そんなの当然だろう、と向井には一蹴されたが、長谷川としては不満顔を抑えきれない。
「もっと手間取ると思ってたのに」

 部屋がひとつ増えたので、以前はリビングを仕切る形で置かれていた仕事机はそっちに配置された。本棚も同じく。
「時間もきっと、もっとかかるって」
 その分広くなったリビングでソファに座って、長谷川が不平を申し立てると、向井はその隣に陣取りながら呆れた顔をしてみせる。

「いつまでも段ボールの間で暮らす気か、って説教したのはおまえだろ。ここは俺の頑張りを評価するところじゃないのか」
「そうかもしれませんけど。でも僕としては、頭がすっかり片付けモードになってたので・・・肩すかしというか拍子抜けというか、」

 言っているうちにどんどんぼそぼそとした口調になってしまうのを自覚したが、自制するよりも言葉がこぼれてしまう方が早かった。
「・・・僕の手伝いなんか要らないって言われてるような」
 気がして、と続けたところで気が挫けて、うつむいてしまった。そんな長谷川の隣に座ったまま、向井は何も言わない。

 あまりの重さにうんざりされたんだろうか、と思うと、もう二度と顔が上げられない気がした。が、
「・・・ちょ、っと・・・向井先生、」
 自分の膝しか見えなかった視界に、いきなり向井の顔が侵入してきた。慌てて長谷川が顔を上げると、向井も大きく傾げていた身体を起こした。そうして改めて、長谷川の顔をまじまじと見やる。
「何ですか」
 
 殊更に憮然とした表情を取り繕った長谷川の目の前で、向井はいきなりくしゃっと笑う。
「いや、・・・そんな可愛いこと、どんな顔して言ってんのかなと思って」



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*何とか新しいシリーズを書き出せました・・・が、続けて更新し続けられるかどうかは五分五分って感じです。今日でどれだけストックが書けるかにかかっています(´・ω・`)
いきなり、過去の拍手御礼SS再録になっていたら、あー書けなかったんだなと笑ってやってください・・・めそめそ。



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*    *    *

Information

Date:2015/11/08
Trackback:0
Comment:2

Comment

*

長谷川先生の可愛らしいこと。たまりませんね
2015/11/08 【TM】 URL #- 

* Re: TMさまv

おはようございます~&ご愛読ありがとうございます!

長谷川先生視点寄りの三人称に戻って、新シリーズ始まりました♪
初回からいきなり拗ねっこモードの長谷川先生でしたが、かっ可愛かったですか! よよよ良かった!(安堵)
今回のシリーズでは(も?)可愛い長谷川先生を書いていきたいと思っております。
お隣さん暮らしの距離を手探りしつつ、向井先生を好きな一心で、ちょっとずつ前進していく長谷川先生のお話です(^^)

2015/11/08 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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