ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

星屑が降ってくる(6)

 こんな状態で病棟を回っても意味はない。そう判断できる程度には冷静だった――と、長谷川としてはせめてそこを自己評価したい。
 ともあれそんなわけで、病棟巡りを一旦中断して、医局へと戻った。
 備え付けのオフィスコーヒーを淹れて自分の席につき、学会誌や回覧文書などの隙間に作ったささやかな作業スペースにそれを置く。

 湯気を立てているそれはまだ、長谷川の舌には熱くて飲めない。
 冷ます間も、視線はいつしか窓へと吸い寄せられて、そればかりではなく立ち上がって窓際へと歩み寄ってしまう。
 グレーのブラインドの間に指を入れて外を覗くと、雨足は先刻よりひどくなっていた。車のヘッドライトが滲んで流れていき、歩道では色とりどりの傘が右へ左へと動いている。
 
 ・・・隣で暮らすようになったからだ。
 不意に答えが降ってきて、長谷川は軽く瞬きをした。
 俺の中で、あの人はもう、家族・・・みたいな位置にいる。
 濡れていないか、寒い思いをしていないか。
 気になるのは、きっとそのため。

「・・・参ったな」
 独りごちた拍子に指から力が抜けて、ブラインドがカシャンと音を立てた。再びグレー一色になった視界を隔てるべく、長谷川は軽く目を閉じる。
 ・・・ほんと、参った。
  



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Date:2015/11/13
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