ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

星屑が降ってくる(10)

 あの人が実在することを確認できたと思ったのに。もう、指の間から滑り落ちて消えてしまった。
 そんな自分の思考を、長谷川はぶるっと首を振って払いのけた。・・・しっかりしろ。

 その間もタクシーは走り、向井の病院へと近づいていく。
 どうしよう、と、改めて思った。どうやら見事にすれ違ってしまったらしい。
 いや、そもそも――冷静になろうと努力しながら長谷川は考える――向井先生の都合も訊かずにタクシーに乗った処からどうかしていたわけで、このまま病院に着いたとしても会えたかどうか疑わしかったんだから。
 一番いいのは、運転手さんに「もういいです」と言って引き返してもらうことなんじゃないだろうか。

 そんな思案をしていると、手の中でもう一度携帯が振動した。・・・メール。もう一度、向井から。

『どうした?』

 ・・・いえ、と長谷川は声には出さずに答える。何でもないです。
 というより。
 ここ数分の自分の醜態を、向井にだけは知られたくないと思った。

 だから、軽く息を吸い込むと、長谷川は携帯へと指を走らせた。そして返信。
『気をつけて帰って下さいね。』

 そのまま携帯を内ポケットに戻し、バックシートに深くもたれて息をつく。もう運転手に指示を出す元気もなかった。そんな自分を嗤うのが、今は精一杯だった。
 ったく。
 本当に、何やってんだろうな俺は。



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Date:2015/11/17
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2015/11/17 【】  # 

* Re: koさまv

こんぱんは~&ご愛読ありがとうございます!

おお、濁点抜けですね(><)いつもお世話になります・・・

そして長谷川先生。予告どおりでしょ?(笑)
書きながら何度も肩を叩いてやりたくなったものです。落ち着けよ、と。

でも、迎えに行かなかったら行かなかったで、ずーっと向井先生のことが気になって仕方なくて、向井先生の部屋で待ってたりとか・・・あ、それでも良かったかも(^o^)
もっともその場合、向井先生が帰ってくる頃には完全に拗ねて&待ちくたびれてて、相当めんどくさいことになっていたでしょう。乙女だ~乙女だわ~(^ω^)

2015/11/17 【なか】 URL #hc9S4FeM [編集] 

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