ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

星屑が降ってくる(15)

 ずるい人だなあ、と長谷川は、思わず嘆息する。
 向井はまだ、青いスクラブに白衣をひっかけた姿のままだ。そういう格好は今まであまり目にする機会がなかったが、やたらと似合っていた。明るい蛍光灯の下で見ると余計に凛々しくて、どぎまぎしてしまう。

 向井は、そんな長谷川の内心が判っていて、わざと着替えもせずに自分の要求を述べているに違いなかった。だって、と長谷川は恨めしいような気分でなおも思う。向井先生のあの目。確信犯の目つきだ。

「・・・仕方ないな。向井先生に風邪をひかれると、僕も困りますから」
 だが結局は、長谷川はこう言ってしまう。そもそも俺に抗えるわけがない。雨の夜に向井先生とくっついて眠るなんて、そんな魅力的な誘惑に。
「部屋着に着替えてきます」
 そう言い置いて、長谷川は隣の自分の部屋に一旦戻るべく、ドアを開けた。

 外はまだ雨が降り続いている。だけどもう、先刻みたいに寒くはなかった。
 あの人といるといつもそうだ、と長谷川は、急いで着替えながら思う。
 何でもないものが輝いて、世界は明るく、あたたかくなる。

 確か天気予報によると、明日未明までの降水確率は九十パーセント。
 ただし降るのは雨じゃない。
 このマンションの三○六号室限定の現象なので、そこは申し訳ないけれど。
 
 星屑がしめやかな音を立て、きらめきながら降り注ぐ。



 end.




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Date:2015/11/22
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