ただ好きだという、この気持ち。

□ 今だけ在ればいい。 □

好きなら好きと言え(8)傘-1

「それで、向井先生。これからも、雨の日は傘を携帯せずに出かけるつもりなんですか?」
「ああ、傘な。・・・持ち歩くの嫌いなんだ」
「知ってます」
「忘れるし」
「僕、思うんですけど。気に入った傘を持ってみたら、忘れなくなるんじゃないですか」
「ビニール傘ばっかり使ってて、いつ忘れてもいいと思ってるから忘れるんだって、そう言いたいわけか?」
「そうです。どうですか先生、この辺で。ちょっといい傘を一本」
「おい、何かのセールスみたいになってるぞ。・・・傘なあ」
「何でそんなに渋るんですか? そんなに傘を持ち歩くのが嫌いですか?」
「いや、嫌いというか・・・確かに好きじゃないけど。それより」
「はい?」
「おまえが迎えに来てくれたの、結構グッと来たから。なのに・・・いや、何でもない」
「なのに、何ですか? ちゃんと最後まで言って下さい」
「・・・自分で傘を持っちまうと、もうあんなこともなくなるなって・・・」
「・・・あのですね。そんなにいつもいつも、うまく会えるとは限らないでしょう?」
「判ってるよ。自分がバカなこと言ってるのも判ってる。・・・だから何でもないって言ったのに」
「そんなにどんどん、先に言わなくても。・・・僕だって、行けるものならいつでも先生を迎えに行きたいですけど、そうもいかないから」
「それも判ってる。・・・ついでに言うと、おまえが俺のこと心配してくれてるのも判ってるよ。そこまで面倒みきれないとか言われても仕方ないのにな。おまえのこういうとこが、俺はほんとに好きだ」
「ええと・・・あの、今回みたいに病院までっていうのは無理があるかもしれませんけど、最寄り駅に着いた時点とかなら。タイミングが良ければ、迎えに行けるかも」
「いいよ、そんなにまでしなくても。そもそも、目標地点がずれてきてるぞ。俺に傘を携帯する習慣をつけさせること、だったろ、本来は。いかにして長谷川が俺を迎えに来るか、になってきてる」
「・・・あ」



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Date:2015/11/27
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